痴漢行為をしてしまった場合、対応や状況次第では、その場で現行犯逮捕されてしまうということがあります。
逮捕されてしまった場合、身柄を解放し、早期に社会生活に復帰するために、弁護士によるサポートが必要になってきます。ご家族が痴漢で逮捕されてしまった場合の、その後の流れ、ご家族がとるべき対応、釈放されるにはどうしたらよいのかについて解説します。
逮捕がされるのは、犯罪を行ったと疑うに足る合理的な根拠があり、逃亡や証拠隠滅を防ぐ必要があるといった、逮捕の必要性が認められるときです。ご家族が痴漢で逮捕されてしまったというときは、ご家族が痴漢行為を行ったと、一定の根拠のもとに疑われており、放っておくと逃げたり証拠隠滅したりする可能性があると思われているということになります。
この一定の根拠という点に関して、基本的には、何らの行為もなく被害が親告されることはないだろうという考えの下、被害者から被害申告があれば、当該申告が真実ではないといえるよほどの事情がない限りは、罪を犯した疑いはあるものと判断されます。
痴漢は、迷惑行為防止条例違反として刑事事件になることが多いですが、同条例違反の場合、法定刑が比較的軽微なものとして定められていることから、罪を認めているようなケースであれば、逮捕される可能性は高くありません。一方で、罪を認めていない場合や、痴漢行為の悪質性の程度が強く、より法定刑の重い強制わいせつとして扱われているような場合には、逮捕される可能性は高くなります。
警察に逮捕された場合、身柄を拘束されながら取調べを受けることになります。 警察は、その取り調べの内容等をもとに、逮捕から48時間以内に身柄を検察官に送致するか、釈放するかを決めます(刑事訴訟法203条1項)。
この期間内に釈放に至らず、検察に身柄を送致された場合、検察官が、24時間以内に勾留という身柄拘束手続を裁判官に請求するか判断することになります(刑事訴訟法205条1項)。検察官が、身柄拘束の必要ありとして、勾留を請求し、請求を受けた裁判官が、これを認めた場合には、最大で10日間、勾留により身柄拘束がされます。その間の取り調べによっても、捜査が終わらない、なお身柄拘束の必要があるとなれば、勾留延長の請求がなされ、さらに最大10日間の勾留をしたうえで、取り調べを受けます。この取り調べにより得た情報に基づいて、検察官は、被疑者を起訴するか否かを判断します。
このように、逮捕をされると、勾留に至らなくても、最大で3日間、勾留されてしまった場合には、最大で23日間、身柄拘束されることになります。また、痴漢のケースであれば、否認を続けている場合や、強制わいせつとして扱われている場合でない限りは考えにくいですが、起訴され、裁判を行うとなると、起訴の後も、保釈が認められるまで、身体拘束は続きます(この身体拘束を起訴後勾留といいます)。
痴漢で現行犯逮捕をされてしまった場合でも、弁護士から早期の釈放を請求することができます。具体的には、検察官や裁判官に、勾留をしないよう請求し、もし勾留されてしまった場合でも、その取り消し、勾留の延長をしないことを求めるといった活動をすることになります。
※ これらの手続について「身柄拘束から解放されるための活動」の記事をご参照ください。
このように、弁護士の介入が早いほど、身柄解放を求める機会は多くなります。
また、身柄解放が認められるには、被疑者が逃亡したり、証拠隠滅したりしないことを主張していく必要がありますが、この主張に説得力を持たせるためにできることも、より多くなります。
そして、最も重要な点ですが、身柄解放されるには、原則として、罪を認めている必要があります。全くの冤罪で、かつ、被疑者が罪を犯していないといえる明らかな証拠があるようなケースであれば別ですが、そうでない限り、罪を認めていない人物は、逃亡したり、証拠隠滅したりするおそれが強いといえるためです。迷惑行為防止条例違反で逮捕までされているとなると、罪を認めていないという可能性もあります。そのため、早期に、弁護士が話を聞き、現在の状況を把握したうえで、見通しなどを伝え、あらためて、被疑事実とどう向き合っていくかを考えていく必要があります。
ご家族が逮捕されてしまった場合、以下のような現実的問題もあり、その観点からも、弁護士による早期対応が必要と思われます。
逮捕中は、弁護士を除いた一般の方は、ご家族であっても面会をすることはできません。その後、勾留という手続に至ってしまった場合には、原則として、面会をすることができるようになりますが、時間が非常に短く制限されており、満足にお話をすることは難しいというのが実情です。弁護士であれば、逮捕直後から、制限なく接見をすることができます。後述のような問題に対処する必要もありますので、ご家族から事情を聴き、今後について必要な協議をするにために、早期に弁護士に相談することが必須といえるでしょう。
逮捕をされてしまえば、勾留に至らないとしても、3日間の身体拘束があり得ますので、少なくともその間、会社や学校を休まなくてはならなくなります。勾留までされてしまえば、さらに長期間の欠勤・欠席を余儀なくされます。無断での欠勤・欠席や、刑事事件による欠勤・欠席となれば、復帰後、何らかの処分を受けることになることもありますし、最悪の場合、職を失うことにもなりかねません。一刻も早く、経験豊富な弁護士に相談し、事情に即した適切な対応を考える必要があります。
逮捕されたこと自体は、その後も捜査機関や裁判所には共有されますが、基本的には、それ以外の一般人には公表されることのない情報です。ただ、逮捕された人物が有名人である場合には、報道により逮捕の事実が世間に知られてしまう可能性があります。弁護士の適切な対応により、報道をしないよう働きかけることもできます。一度報道されてしまえば、取り返しがつかないということもありますので、そのような恐れがある場合は、早期に弁護士を入れて対応する必要があります
※ 詳しくは「犯罪と報道」の記事をご参照ください。
このように、逮捕されてしまった場合には、これに続く勾留を避ける、勾留期間を短縮するといった、身柄解放の側面にくわえ、身柄拘束により発生する現実的な問題に対処するためにも、弁護士の介入は必須といえます。弁護士による対応が早ければ早いほど、できることも増えますし、問題を未然に防ぐことができる可能性も高くなります。特に痴漢による現行犯逮捕の場合には、弁護士から被疑者に対して適切な説明をして、方針を話し合ったうえで、身柄解放活動をすることで、早期の身柄解放が見込めるといえます。
迷惑行為防止条例違反の場合、弁護士の活動により身柄が解放されても、それで終結というわけではなく、身柄解放後は、在宅事件として引き続き捜査がされ、検事による起訴不起訴の決定を待つことになります。
傾向として、迷惑行為防止条例違反として事件となっている場合、初犯であり、罪を認めているようなケースでは、罰金刑となることが予想されますが、被害者の方と示談ができていれば、不起訴となり、罰金刑が科されることもないという結果となることが多いです。
強制わいせつとして扱われている場合は、身柄拘束中に示談ができることで、身柄解放に至ることが予想されます。 また、最終的な処分との関係でも、示談ができていれば、不起訴とすることや、裁判の結果、執行猶予が付されることが見込まれます。
このように、被害者の方と示談していくことが非常に重要になりますが、身体拘束されていては示談をすることはできませんし、そもそも、被疑者や家族には、被害者の連絡先が開示される可能性は非常に低いです。その意味で、弁護士の介入は必須といえます。
このように、ご家族が痴漢で逮捕されてしまった場合、経験ある弁護士の早期介入が重要になります。まずはオリオン法律事務所にご相談ください。痴漢事件対応経験を有する弁護士が、お話をお伺いします。
著作者:弁護士 枝窪 史郎
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