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大麻クッキーを買って警察から連絡が来る理由

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大麻クッキーを買ったら捕まる?

1 大麻クッキーを買ったら警察から連絡が来た

 大麻を所持等することは、大麻取締法という法律で禁止されています。しかし、現在、大麻の成分との関係から、大麻関連製品について、合法とされる製品と、違法となるものが混在しています。また、その製品の種類も多様であり、正しい知識がないと、違法な行為をしてしまうということになりかねません。
 例えば、ツイッターで見かけた投稿をきっかけに、興味本位で、大麻クッキーというものを買ってしまったというケースを見てみましょう。

2 大麻取締法の規制対象

⑴ 大麻とは何か

 大麻取締法上、大麻は「大麻草(カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻草の成熟した茎及びその製品(樹脂を除く。)並びに大麻草の種子及びその製品を除く」(大麻取締法第1条)と定義されています。すなわち、大麻とは、カンナビス・サティバ・エルの葉、花、樹液、樹脂、これらを加工した乾燥大麻、リキッド、ワックス、グミ、クッキー等の製品ということになります。

⑵ 大麻に含まれる成分

 では、大麻が含有される成分を含む以上は、その葉や樹液を加工した製品はすべて違法であるかというと、そうではありません。大麻には、主に、CBD(カンナビジオール)、THC(テトラヒドロカンナビノール)といった成分が含まれています。 この内、幻覚、妄想等の有害作用を生じ、依存症や、精神障害等の有毒性があるのは、THCという成分と解されており、THCは葉や花に含まれる樹液に主に含有されています。
 一方、CBDは、成熟した茎や種子の中に含まれており、これらの部位は、大麻取締法上、規制対象から除外されています。よって、大麻取締法違反の対象となるのは、このTHCの成分を含む部位およびこれを加工した製品となります。そのため、CBDに関しては、一般の煙草店でもCBD電子タバコなどが売られていますし、スーパー等でCBDグミ、CBD成分入り化粧品などを販売しているところもありますし、CBDビール、CBDカフェなどもあります。効用として、同成分によるリラックス効果などが謳われています。

⑶ THC成分が含まれる以上は規制対象となる?

ア CBD製品からTHCが検出された場合

 たとえば、CBDクッキーとして購入した商品からTHCが検出されてしまったら違法となるのでしょうか。 いわゆる一般企業が運営する店舗などで取り扱っているものに関しては、THC成分が検出されても、最終的には違法となる可能性は低いと思われます。ただ、これは、最終的に、証明書等で、正規のルートで国内生産、輸入されたことを示して違法ではないと判断されるという意味ですので、違法な可能性ありとして捜査される懸念はあります。
 詳細は「CBD製品と思って商品を購入したら警察から連絡が来た」の記事をご参照ください。

イ 正規商品でないものは注意が必要

 また、例えば、個人が匿名で、ネット上で販売しているような商品に関しては、注意が必要です。複数の媒体を経由して、販売サイトにたどり着いた結果、そもそもTHC成分含有を謳い、違法なものとして販売している商品もありますし(実際、令和4年には、違法な大麻成分入りクッキーを販売目的で所持した人物が逮捕された事件がありました。同人は、のべ2500人程に同クッキーを販売したと述べています)、CBDと記載されていたり、大麻クッキーとだけ書いてあったりしたが、実態はTHC成分が含まれていたものだったということもあります。

3 逮捕されてしまうのか

⑴ 想定される今後の進行

 では、大麻クッキーを買って、警察から連絡が来たという場合、逮捕されてしまうのでしょうか。まず、購入が発覚する経緯として、購入して服用した結果、同クッキーの作用により、幻覚を見るなどして、暴行や大声を上げたことで、通報されるという事態や、販売者が逮捕され、顧客リストや売買記録などから特定に至るという事態が考えられます。
 その場合、想定される流れとして、まずは、警察に呼ばれ、任意で出頭した上で、事情を聴かれることが考えられます。その際、警察は、尿や、大麻クッキーの提出を求め、これを鑑定に回します。鑑定には、一定の時間がかかり、その期間は、捜査機関や鑑定機関のスケジュール次第というところもあるため、具体的に、どれほどの期間で鑑定が終了するかはわかりません。鑑定した結果、THC成分が検出されたとなれば、逮捕に至る可能性が高いです。
 一般に、薬物事件には、証拠の処分が容易である、関与者が多数にわたるという特徴があるため、証拠隠滅のおそれから、身柄拘束されやすい傾向にあります。そのため、最初の呼出しから半年以上たってから逮捕されるということもありえます。

⑵ 逮捕を回避できるケースも

 事例によっては、弁護士の適切な主張により、逮捕を回避できることもあります。特に、大麻クッキーのような加工品において考えられるのが、検出されたTHC成分が非常に微量である可能性です。検出されるTHC成分が非常に微量であったとなれば、捜査の結果、検察官が、その他の事情も考慮し、起訴をしないという判断もありえます。THCであると認識し難い状況だったのであれば、なおさらその可能性は高まります。そのような状況下で、逃亡したり、証拠隠滅したりする可能性が低いことや、売人との関係性の希薄さ、既に更生のための努力を具体的にしていることなどについて、具体的な事実と共に言及し、適切な主張をした、意見書を送付することで、逮捕自体を回避できる可能性があります。

4 弁護士に相談を

⑴ 身柄拘束回避

 大麻クッキー等、大麻関連製品の所持が捜査機関に疑われたら、まずは弁護士に相談しましょう。前述のように、身柄拘束を回避することもありえますし、身柄拘束されてしまった場合について、予めしっかり相談しておく必要もあります。特に、大麻については、仮に、職務質問などの結果、大麻と疑わしきものが見つかり、簡易検査をしたとしても、大麻の簡易検査は、覚醒剤等に比して判別が難しいこともあって、陰性として、その場では逮捕されず、鑑定を待つということも多くあります。この間に、しっかりと活動することで、身柄拘束を回避できる可能性もあるのです。

⑵ 早期対応の必要

ア 依存症からの脱却

 また、少なくとも自分自身が大麻の幻覚作用等違法な成分に由来する作用を求めて商品を購入した自覚がある場合、早期に弁護士に相談して、依存症から脱却する途を、共に模索すべきです。薬物事件対応の経験が多い弁護士であれば、依存の程度に応じた専門の治療機関を探すこともできます。

イ 身柄拘束回避や裁判にも役立つ

 早期にそのような治療機関に通うことは、既に更生活動に着手しているとして、身柄拘束を回避する方向に働くこともあります。また、そのような更生活動は、裁判の場でも、有利な情状として考慮されるでしょう。

⑶ まずはご相談ください

 このように、違法な大麻製品に関与してしまったと思ったら、まずは弁護士に相談しましょう。違法な大麻は、それ自体の有害性のみならず、これをきっかけに他の薬物に手を出すことにつながりかねないという意味でも、危険な薬物です。早期脱却の必要があります。
 また、早期に相談すれば、身柄拘束回避活動やこれに備えた対策をすることもできます。オリオン法律事務所までご相談ください。渋谷・池袋・横浜周辺エリアに対応しています。


著作者:弁護士 枝窪 史郎

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