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保釈はどのような場合に認められるか?

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保釈はどのような場合に認められるか?

1 保釈とは

 芸能人や有名人が多額の保釈金を納付したというような報道を目にしたことがある方も多いかと思います。このような報道から、刑事事件を起こしてしまった場合、保釈金を払えば保釈されるというイメージをお持ちの方もいるのではないでしょうか。保釈にあたって、保釈金を納付することは必要ですが、お金を払えば解放されるという手続ではありません。ご家族が身柄化拘束されているが保釈金が用意できない、保釈金は用意できるがどのような手続きをすればいいのか、そのようなお悩みをお持ちの方に、保釈の手続についてご説明します。

⑴ 保釈とは

 保釈とは、勾留されている被告人について、一定の条件の下、身柄を解放する手続です。刑事訴訟法88条以下に、保釈について定められています。

⑵ 刑事事件の流れ

 保釈について説明するにあたり、まず、刑事事件の流れを説明します。犯罪に該当する行為をしてしまった場合、被害届や通報、職務質問などにより犯罪事実が発覚すると、警察の捜査が始まります。この際、逮捕により身柄拘束をされることがあります。続いて、検察官の捜査がなされ、検察官が、起訴するか不起訴とするかを判断します。この間の捜査が、勾留という身柄拘束のうえで行われることがあります。起訴された場合には裁判により、最終的に、罪を犯したのか否か、その罪の重さについて、判断され、相応の刑罰が科されることになります。

⑶ なぜ保釈請求を行う必要がある?

 刑事事件の流れの中で、逮捕、勾留による身柄拘束という言葉が出てきました。刑事事件を起こしたと疑われている人物が、逃亡や証拠隠滅をする可能性がある場合、逮捕や勾留という手続により、身柄拘束されてしまうことがあります。逮捕・勾留による身柄拘束は、法律上、最大で23日間とされています。しかし、検察官の捜査の結果、起訴されることになった場合、23日が経過しても、自動的に解放されるわけではありません。起訴をした被告人については、逃亡や罪証隠滅の防止の他、裁判に出廷しないというような事態を防ぐことを目的に、引き続き、勾留がされることになるのです。起訴後勾留される場所は、事実上、従前と同じ、警察署内の留置施設となりますので、渋谷警察署に逮捕され、勾留されていた場合、起訴後も引き続き、渋谷警察署にて勾留されることになります。
 そして、この起訴後の勾留には、事実上、期間が定められていません(法律上は、起訴後の勾留の期限は2カ月とされていますが、相当な理由を付した決定により、1カ月毎に更新することができますし、一定の場合には、この更新回数に制限はありません)。そのため、何もしないでいると、裁判が終わるまで身柄拘束がされ、裁判で執行猶予が付されず、実刑判決が科されれば、そのまま刑務所に行くことになります(実際には刑務所に移送されるまでに一定の時間がかかります)。
 そこで、起訴後に身柄解放をされるために、保釈という制度を利用する必要があります。なお、保釈が請求できるのは、起訴されて以降ですが、起訴されるまでは、別途の手続で身柄を解放するよう求めることができます。

 起訴前の身柄解放手続について「身柄拘束から解放されるための活動」の記事をご参照ください。

2 保釈が認められる場合

 では、この保釈が認められて、身柄解放されるのは、どのような場合でしょうか。保釈には、権利保釈、裁量保釈、義務的保釈の3種類がありますので、それぞれ説明していきます。

⑴ 保釈が認められるための条件

ア 権利保釈

 刑事訴訟法88条1項は、「勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる」とし、同89条は、「保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない」としたうえで、保釈を許さない一定の場合を定めています。このように、被告人等(実際には弁護人がすることがほとんどです)からの請求があったときは、一定の場合を除いて、裁判所は保釈を認めなければなりません。
 この、請求権者による請求に基づく保釈を、権利保釈といいます。保釈が認められないケースは、以下になります。

  1. 死刑・無期・短期1年以上の懲役・禁錮にあたる罪を犯した場合
  2. 過去に死刑・無期・長期10年を超える懲役・禁錮にあたる罪で有罪の宣告を受けたことがある場合
  3. 常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した場合
  4. 罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合
  5. 被害者や事件の関係者、その親族などに対して、身体・財産に危害を加える、または畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がある場合
  6. 被告人の氏名または住居がわからない場合

 これらの内、1~3、6は、客観的に明らかな事情ですので、請求において主張するべきは、4、5に該当する事情がないことになります。具体的には、以下になります。

⒜ 罪証隠滅のおそれがないこと

 既に証拠物は全て捜査機関が押収していることや、証人に対して働きかける余地がないことを主張して、これらに該当しないことをアピールしていきます。証人になる人物の素性も連絡先も知らないことや、知り合いだったとしても、連絡を取れないことなどを主張していきます。

⒝ 身柄引受人の存在

 被告人を監督し、証拠隠滅行為をしないよう見張る人物がいることを示す意味があります。常時の監督により意味を持ちうることから、身柄引受人は、同居可能な親族の方になっていただくのが効果的です。

⒞ 示談をしていること

 被害者の方がいる犯罪で、示談ができた場合、量刑判断や、執行猶予を付すか否かの判断において、非常に有利に働きます。被害者の方は、裁判において、証人となりえますが、示談ができているのに、あえて接触してこれ以上の働きかけをすることはないと示すことで、④、⑤に該当しないことを主張していくことになります。示談においては、今後接触しないことを約束していることも多く、そのような示談の内容も、接触可能性がない事情として、裁判官に示していく必要があります。

イ 裁量保釈

 上記の場合のいずれかに該当するとして、権利保釈が認められない場合でも、裁判所は、個別の事情を考慮して保釈を認めることができます(刑事訴訟法90条)。この場合の保釈を、裁量保釈といいます。裁量保釈が認められるためには、以下のような点についての適切な主張が必要です。

⒜ 逃亡のおそれがないこと

 起訴後勾留の制度目的からすると、裁判官に、保釈を認めてもよいと思わせるには、逃亡のおそれがないことを主張しなくてはなりません。具体的には、身柄引受人の存在や、予想される量刑との関係から逃亡するメリットがないことを主張します。保釈に関して、厳しい見通しが予想される場合、保釈後の被告人の生活に制限を加えることを主張することもあります。例えば、現金を最低限度しか所持させない、身柄引受人への毎日の状況報告などが考えられます。

⒝ 保釈の必要性

 保釈を認めなかった場合に生じる不利益を主張することで、保釈を許可されるように働きかけることがあります。例えば、治療の必要や、これ以上の身柄拘束により被告人が解雇される可能性や、これによる家族への影響などを主張していくことが考えられます。

ウ 義務的保釈

 上述の他に、特別な場合として、刑事訴訟法91条に、義務的に保釈を認めなければならない場合が定められています。勾留による拘禁が不当に長くなったときに認められえます。

エ 具体的にはどうやって請求する?

 法律上、保釈は、被告人本人や、家族から請求することもできます。しかし、これまで述べたような各種の事情について、効果的な主張をしなくてはならず、ほとんどのケースでは、弁護士によって請求することになるでしょう。弁護士は、被疑者の起訴を確認したら、速やかに、保釈請求書という書面を、各種の資料(身柄引受書など)と共に、裁判所に提出します。地域によって差がありますが、例えば東京地裁の場合は、保釈請求書の提出から、保釈許可決定までには、(土日を除いて)最短で3日ほどかかります。保釈の許可が出たら、保釈金を納付し、解放を待ちます。許可決定から解放までは、事前に準備を整えて速やかに行えば、当日中になされます。

⑵ 保釈金が必要?

ア 保釈金の納付により解放される

 保釈金とは、保釈許可に際し裁判所が決定した一定額を、被告人から裁判所に納付させるものです。その目的は、被告人の裁判への出廷を確保し、逃亡、罪証隠滅を防止することにあり、保証金のような性質を有しています。

イ 保釈金は返ってくる

 保証金と述べた意味は、保釈金は、何も問題がなく裁判が終結すれば、その後まもなく返還される一方で、正当な理由なく裁判に出廷しない、逃亡・罪証隠滅をした、住居制限等の保釈条件に違反したといった場合は、没収されるためです。このような目的からすると、資力のある人間に対しては、多額の保釈金を納付させる必要があるため、保釈金が高額になる傾向にあります。また、事件内容によっても、保釈金の金額は多くなることがあります。一般的には、前科のない単独犯などであれば、150万円~200万円程となることが多いかと思います。

ウ 保釈金が用意できないときは

 戻ってくるとはいえ、保釈金は上記のように高額です。一時的にでも用意できないという人のために、日本保釈支援協会による立替の制度があります。一部を自己負担することで、その他の金額を立て替えてもらえる制度です。ただし、この制度の利用には審査があり、また、保釈金額に応じた手数料が発生します。また、全国弁護士協同組合連合会による保釈保証書発行という制度もあります。こちらも同様に一定の手数料は発生します。これら制度により、一時的にでも、高額の保釈金を用意できないという場合でも、保釈を受けることが可能です。

3 保釈については弁護士に相談を

 これまで述べたように、保釈には、弁護士による適切な主張が必要なことにくわえ、場合によっては、示談交渉や、依存症治療の手配など、保釈を許可されるだけの状況を、早いうちから準備していくことも必要です。また、取り調べを受けることになった初期段階から弁護士が介入することで、保釈以外の方法もとりえます。刑事事件を起こしてしまい、身柄拘束されるかもしれない、ご家族が逮捕されてしまったというような場合、まずは早期に渋谷・池袋・横浜の弁護士法人オリオン事務所までご相談ください。刑事事件のノウハウを有する弁護士がご対応いたします。


著作者:弁護士 枝窪 史郎

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