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暴行・傷害事件を起こしてしまった…示談が必要か?

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暴行・傷害事件を起こしてしまった…示談が必要か?

1 暴行とは

 夫が酔って人を突き飛ばしてしまい警察に逮捕された、人を殴ってしまい警察から取り調べをうけたが自分は今後どうなるのかといったご相談をいただくことがあります。
 上記のような行為は、暴行罪として刑事事件の対象となります。暴行罪というと、人を殴る・蹴るというような行為をイメージしやすいかと思います。そのような行為は勿論、押したり、掴んだりといった程度の故意に人の身体に触れる行為や、実際には当たらなくても、物を投げつける行為なども、暴行にあたります。
 暴行とは、これら、人の身体に向けた有形力の行使の内、人を致傷させるに至らないものを指しますので、これらの行為の結果、被害者が怪我をしてしまえば、傷害罪として、より重い罪となります。
 なお、明らかに暴行による怪我をしている場合以外でも、被害者から、怪我についての診断書が出ているような場合は、傷害として取り扱われる傾向にあります。一見怪我がないようなケースでも、後日病院に行ったところ、頸椎捻挫や外傷性頸部症候群などと診断されることもあります。また、暴行の際に、金品を奪う等の行為をすれば、強盗罪に問われる可能性もあります。

2 暴行行為をしてしまった場合に予想されること

 では、暴行行為をしてしまった場合、どのように対応していったらよいでしょうか。

⑴ 警察からの連絡

 まず、暴行行為をし、被害者・目撃者が警察を呼ぶなどした場合、臨場した警察官から、警察署に同行して話をするよう求められることになります。また、その場では警察を呼ぶ事態にはならなかったものの、後に被害者が被害届を出すといったこともあります。その場合は、警察の捜査の結果、被疑者として特定され、後日、警察から出頭するよう求められることになります。

⑵ 逮捕されてしまうことも

 同行や出頭を求められた際に、暴行をしていないと否認したり、正当な理由なく同行を拒否したりすれば、逮捕されてしまう可能性もあります。その他、暴行の程度が強度である場合や、明らかに被害者が怪我をしていて傷害と評価されるような場合、暴行・傷害による前科や前歴がある場合、その他、被疑者と被害者が近しい関係にあり、放っておいた場合、被疑者から被害者に対して、不利な証言をしないよう圧力がかかる可能性がある場合においても、逮捕をされる可能性があります。

⑶ 見込まれる処分

ア 暴行の場合

 暴行の程度が非常に軽微であった場合(軽く押した、少し小突いたなど)、警察から話を聞かれたうえで、刑事事件として今後捜査はしないとして、終結に至ることもあります。しかし、刑事事件として取り扱うとなった場合、最終的には、検察官により、起訴するか否かの判断を受けることになります(起訴とは、有罪か否か、その罪の重さについて、裁判により判断するよう請求することです。実際には裁判を行わない略式の手続もあります)。
 起訴されてしまった場合、略式手続により罰金刑となるか、公判廷での裁判を経て、罰金ないし実刑判決を受ける可能性が高いです。 暴行の程度にもよりますが、傾向として、初犯であれば、罰金刑となることが多いです。そのため、暴行によりいきなり刑務所に行くようなケースは多くないですが、罰金刑であっても前科がつくことには変わりなく、前科がつくことは、今後の人生に多大な影響を及ぼしてしまいます。前科がつくことを避けるには、不起訴処分となるよう適切な対応をすることが必要です。
 前科による影響について、詳しくは「前科とは何か」の記事をご参照ください。

イ 傷害の場合

 被害者の方が怪我をしてしまい、傷害として捜査された場合、最終的な処分も重くなります。怪我の程度にもよりますが、重い怪我であれば、懲役刑が科されることも考えられ、被害者の方と示談ができていなければ、初犯であっても、執行猶予がつかず、刑務所に行くこともありえます。

2 不起訴処分獲得に向けて

⑴ 示談をすることの重要性

 このように暴行事案においては、暴行に止まる場合も、傷害に至っている場合も、被害者の方に謝罪と賠償をし、示談をすることが重要です。刑事事件における示談は、被害者の方の被害感情が低減し、一定の被害回復を受けたことや、被疑者の真摯な反省を示す事情としての意味を持ちます。検察官は、起訴するか否かを判断するにあたり、この事情を重く見る傾向にあります。実際、暴行として捜査された事案において、示談ができたケースは、7割程のケースが不起訴処分となっています。傷害とされた場合であっても、示談ができているのであれば、検察官が不起訴とすることも多いですし、裁判で執行猶予がつく可能性も高いです。

⑵ 示談をするには

 では、示談は実際にはどのように行っていくのでしょうか。

ア 弁護士による示談

  ⒜ 弁護士介入の必要性

 実情に照らせば、暴行事案において示談をするには、弁護士の介入が必須といえます。暴行を受けた被害者の方は、恐怖感などから被疑者と接触することに強い抵抗があるのが通常です。そのため、そもそも被害者の方のお名前や連絡先を教えて貰うことすら、被疑者本人では困難です。示談は当事者間の約束事なので、警察等は介入しません(稀に事実上介入しているというようなケースもありますが、少なくとも、被疑者に有利な進め方をしてくれるということはないでしょう)。よって、示談をしていくには、被疑者の側で弁護士に依頼して進めるのが一般的です。
 被害者の方が弁護士をつけることもあり、その場合は被疑者の側で弁護士に依頼しなくても示談手続を進められますが、被害者の方の意思に係ることですので、これに期待することはできません。被害者の方に誠実に謝罪をし、然るべき賠償をして、不起訴処分獲得を目指したいと思えば、弁護士に依頼することが、事実上必須といえます。

  ⒝ 具体的な示談の流れ

 弁護士が介入し、示談に向けて動いていくとなった場合、まずは警察等を通じて、被害者の方に、謝罪と賠償を申し入れます。被害者の方において、話を聞いてくれるということであれば、ご連絡先等を弁護士限りで開示してもらいます(この連絡先については、依頼者の方であっても一切開示することはできませんし、決して他者に知られることのないよう、弁護士は最大の注意を払っています)。
 そのうえで、弁護士からご連絡し、謝罪と賠償の意向をあらためてお伺いして、具体的な賠償のお話、その他の約束ごとなどを、お話していくこととなります。
 そして、最終的には、被害者の方に、金銭支払いを含めた各種お約束事に納得いただき、これら約束事項と、被害者の方において刑事処分を望まないという旨を記した書面に署名・押印をしてもらい、示談が成立することになります。

イ 示談に係る賠償金額はいくら?

 示談の趣旨とするところは、謝罪が第一ですが、被害者の方としては、単に謝罪を受けただけでは納得することはできないというのも実情です。
 そこで、形として示すことのできる償いの手段として、賠償金をお支払いするということが多いです。よく示談金はいくらお支払いするべきなのか、相場はあるのかといったご相談をいただくことがあります。
 これについて、いわゆる相場というものはないといってよいでしょう。あくまで、被害者の方が納得できるか否かがポイントになってきます。ただ、無制限にお支払いをするというのも妥当ではなく(むしろ高い金額を支払えばいいという被害者感情を無視した発想につながりかねません)、支払われる金額は、法的に相当な範囲となるべきです。

  ⒜ 暴行の場合

 暴行の賠償に関しては、行為の悪質性や被害の程度の評価という側面から、見込まれる罰金刑が一つの目安となりうるといえます。また、精神的損害に対する法的な金銭評価という意味で、仮に民事事件として訴えた場合の(類似事案における)裁判例で認められる金額の傾向も、目安となりえます。これら目安となる金額に、個々の事案ごとの事情を勘案していきます。さらに、被疑者の資力も、現実的な問題として、一つの考慮要素といえるでしょう。

  ⒝ 傷害の場合

 傷害となるようなケースでは、治療状況や後遺障害の有無から、一定の基準に従って慰謝料を算定していくことができます。 また、実際にかかった治療費についても賠償していくことが考えられます。
 ただ、ケースによっては、賠償額算定のために症状固定などを待っていては、刑事処分の決定に間に合わないということもありえます。その場合、被害者の方に納得いただいたうえで、見込み額などによって示談をしていくことになるでしょう。

ウ 金銭支払い以外の約束事

 暴行・傷害事件においては、被害者の方は、被疑者とは今後一切接触したくないという気持ちを持っていること多いです。そのため、示談の中で、具体的に、今後二度と接触しないような方策を定めていくことがあります。例えば、暴行の現場や、交渉の中で知ることのできた生活圏を基準に、一定範囲への立ち入り禁止などをお約束することもあります。
 弁護士が適切に対応することで、ご依頼いただく方と、被害者の方の双方に配慮し、円滑に妥結点を探っていくということも可能です。

⑶ 示談ができないケース

ア 被害者の方が示談を望まない場合

 示談においては、まず弁護士から、警察等を通じて、被害者の方に、被疑者の謝罪と賠償の意思を伝達してもらい、弁護士に連絡先を開示してくれるかどうかを尋ねます。
 この際、被害者の方が、何を言われても許す気はないとして、連絡先の開示自体を拒否することもあります。交渉自体を拒否されている以上、示談をすることはできません。このような場合でも、弁護士としては、例えば、事件が検察に送致された際に再度申入れを行うなどして、粘り強く交渉をしていきます。

イ 示談ができないケースにおける対応

 示談ができない場合であっても、不起訴処分獲得のためになしうる活動はあります。例えば、贖罪寄付といって、弁護士会や各種団体に寄付を行い、被害者救済等の公益活動に役立ててもらうことで反省を示す方法もあります。
 また、被害者の方が賠償金を受け取ってはくれないものの、被害者の方が誰であるか、どこに住んでいるかは知っているというようなケースであれば、供託といって、被害者の方がいつでも受け取れるように、供託所という場所に賠償金を預ける形をとることもできます。
 そして、これらの活動を含めて、被疑者を不起訴処分とすべき事情があることを適切に主張した不起訴意見書を、弁護士から検察官に提出することで、示談ができないケースでも、不起訴処分となりえます。

3 暴行傷害の被害者示談は弁護士へ

 このように、示談をしていくには、弁護士の介入が必須ですし、弁護士の対応によって、真摯な反省の気持ちを、被害者の方に適切に伝えることができます。また、示談ができないケースでも、弁護士に依頼することでとりうる不起訴処分獲得のための活動も多々あります。
 これらを効果的に行うには、刑事事件対応の豊富な弁護士への相談が必要になります。暴行行為をしてしまい、今後に不安のある方は、渋谷・池袋・横浜のオリオン法律事務所までご相談ください。


著作者:弁護士 枝窪 史郎

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