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前科とは何か?どういうデメリットがあるのか?

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前科の意味と前科のデメリット

1 前科とは

⑴ 罪を犯すと前科がつく?

 刑事事件を起こしてしまったとしてご相談に来られる方の多くが、前科がついてしまうのか、前科がつくとどうなるのかという点をご不安に思われています。以下では、前科とは何か、前科がつくとどうなるか、前科がつくことを避けるための活動について説明します。

⑵ 前科とは何か

 前科がつくということの意味について、法律上の明確な定義はありませんが、一般に、刑事事件に関し、有罪判決を受けた事実をもって、前科といいます。ここでいう有罪判決には、刑務所で懲役・禁固の刑に服する実刑の場合のみならず、執行猶予付き判決を受けた場合や、罰金・科料に処された場合も含みます。また、有罪判決を受けた場合、以下の3種類の記録が残ります。

① 検察庁における記録

 検察官や検察事務官において、今後同一人物が再度罪を犯したと疑われた際に参照することなどを目的として、既決犯罪通知書を基に、前科を記録しています。例えば、再び罪を犯してしまったときに、刑事事件として立件されれば、捜査記録が作られますが、これに、前科調書という形で付されます。この記録は、本人が死亡するまで残りますが、閲覧権限があるのは、検察官、検察事務官のみです。

② 各市区町村が管理する犯罪人名簿への記録

 公職選挙法上、前科がある場合、一定期間、選挙権、被選挙権を失うこととの関係や、前科がある場合に一定期間就くことができない職業があることとの関係から、各市区町村では、既決犯罪通知書を基に、犯罪人名簿という記録を作成しています。こちらは、一定の事由により刑の言い渡しの効力が失われると、利用されなくなる、ないし、記録が抹消されます。閲覧できるのは、限られた人物に厳しく制限されています。

③ 有罪判決の裁判記録

 有罪判決を受け、判決が確定すると刑事裁判の事件記録は、法律に基づき、刑の重さに応じて保管期間の間、検察庁に保管されます。刑事事件記録となると、裁判の傍聴などのイメージから、誰でも閲覧できるように思われるかもしれませんが、前科は重大なプライバシー事項と考えられているため、正当な理由のない第三者からの閲覧申請は認められません。こういった記録が残ることをもって、前科がつくと表現することもあります。

2 前科はどのようなときについてしまうか

 どのような事由をもって、前科がつくのかについて、有罪の判決を受けたときと理解して問題ありませんが、前歴等との区別の関係から、刑事事件の流れに沿ってもう少し詳しく説明します。

⑴ 刑事事件の流れ

 被害届や通報、職務質問などにより、犯罪に該当し得る事実が発覚し、警察が、事件性があると判断した場合は、刑事事件として立件され、捜査がされます。 この際、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されたら、逮捕という身柄拘束が伴うこともあります。逮捕をされることで、逮捕歴が残ります。 警察が一定の捜査を終えると、その事件を、検察に送致します。 送致を受けた検察官は、引き続き事件を捜査し、起訴(=罪を犯したと疑われる者について、刑事裁判で有罪か否か、罪の重さを判断するよう請求すること)をするかどうかを決めます。 この間の捜査が、勾留という身柄拘束手続のうえで行われることもあります。

⑵ 起訴されたらどうなる?

ア 起訴され裁判となればほとんどのケースでは有罪となる

 起訴をされると、裁判が行われることになります。我が国においては、起訴されてしまった場合、99.9%の確率で、有罪判決がなされています。有罪判決を受けると、前述のとおり、前科がつくことになります。有罪となるケースでも、執行猶予といって、実際には刑に服さずに社会生活を送ることができる場合がありますが、執行猶予を付された場合であっても、有罪判決を受けた以上は、前科がついてしまいます。

イ 裁判を行わない場合も

 ⒜ 略式手続による罰金刑

 被疑者が罪を犯した疑いが強いとして、検察官が起訴をする場合でも、必ず裁判が行われるわけではありません。被疑者が罪を認めていて、課される刑が100万円以下の罰金・科料である場合、検察官は、被疑者の同意の下、略式起訴という書面審理だけで終わる簡易な裁判手続を請求することができます。 この場合、実際に法廷で裁判を行うことはなく、罰金刑が課されることになります。

 ⒝ 罰金刑でも前科がつく

 罰金刑の場合であっても、有罪とされていることには違いなく、前科がついてしまいます。

3 前科がつくことのデメリット

⑴ 再度罪を犯せばより重い刑や不利益な処分を受けうる

 もし再度罪を犯してしまった場合、前科があることにより、不利になることが考えられます。

ア 科される刑は重くなっていく

 起訴・不起訴の判断や、量刑判断において、同種の前科を犯していれば、より重い処分や刑が科されることが予想されます。犯した罪の内容などの個別の事情にもよりますので一概には言えませんが、例えば、窃盗の罪を繰り返していた場合、初犯:罰金刑→2回目:懲役刑(執行猶予)→3回目:懲役刑(実刑)という形になりますし、薬物事犯などでは、初犯;執行猶予→2回目:懲役1年(実刑)→3回目:懲役1年6月(実刑)となっていくことが予想されます。

イ 身柄拘束の可能性も上がりうる

 前科があり、前よりも重い刑を科されうるということは、これを避けるために、逃亡、証拠隠滅するのではないかとの判断につながりえます。そのため、身柄拘束される可能性は高くなります。

⑵ 就職・転職に際して制限を受け不利になるおそれ

ア 就くことができなくなる職業がある

 まず、前科があると一定期間就くことができなくなる職業があります。例えば、禁固以上の刑に処させられると、服役や執行猶予期間満了から一定の期間が経つまで、国家公務員や地方公務員、教員、裁判官、検察官、弁護士、医師、警備員などの職業に就くことができなくなります。また、罰金刑の場合でも、医師や歯科医師、看護師等の職業は、一定期間免許の申請ができなくなることが法律上定められていますし、上記のいずれの職業も、裁量により、資格喪失につながる可能性があります。

イ 履歴書に記載する必要

 一般企業等でも、就職・転職の際には、履歴書を提出することになると思います。履歴書の賞罰欄には、前科を記載しなくてはなりません。これを記載しないで就職し、後に発覚した場合、犯罪の内容や直近前科からの経過期間、職業の内容等にもよりますが、解雇とすることが正当と認められる可能性があります。

⑶ 海外渡航に関する制限

ア パスポートの発行

 旅券法という法律により、前科があり、法の定めに該当する一定の場合には、パスポートの発行を受けられない可能性があります。例えば、禁固以上の刑に処せられ、服役中の間や、執行猶予期間を満了するまでの間は、同法の定めに該当します(旅券法13条1項3号)。また、パスポート偽造等の場合や、薬物事犯の一部は、同法の5号や7号に該当しえます。

イ ビザの発給等

 外国への入国を希望する場合に、事前審査のうえで、審査を通過したことを示す証明書としてビザの発給を受ける必要ある場合があります。日本のパスポートがあれば、短期の旅行などにはビザの取得は不要という国は多く、アメリカにはESTAやカナダのETAなどのシステムがありますが、前科があると、同システムを利用できなくなります。そのため、ビザの発行を受ける必要がありますが、前科・前歴により、ビザ発給を拒否される可能性があります。特に、薬物事犯の場合は、非常に厳しく判断されます。

4 前科は知られてしまう?

⑴ 公開される情報ではない

 前科について、犯罪人名簿や、検察庁の記録として残ることをお話ししましたが、これらの記録は、一般に公開されることはありません。ごく限られた権限を持つ人物が、必要に応じて閲覧できるにとどまります。基本的には、公的な情報としての前科の記録が、権限のない者に知られることはないでしょう。

⑵ 報道やSNSで知られてしまうことも

 しかし、もし有罪判決を受けた事実が報道されていた場合、報道の記録や、これについて言及したSNSなどによって、前科の存在が知られてしまう可能性があります。これらについて、後に、法的に削除の請求をしていくこと自体は可能ですが、請求が認められるには、判決から経過した期間や、報道による具体的不利益、犯罪の軽重、本人の属性による社会への影響の多寡などを考慮し、前科というプライバシー情報を保護すべきといえる場合でなくてはなりません。

5 前科をつけないためには弁護士に相談を

 このように、前科がついてしまった場合、種々の不利益が存在します。そのため、罪を犯してしまった場合、前科がつかないように、早期に弁護士に相談して、対応していく必要があります。

⑴ 不起訴処分を目指す

 起訴されてしまった場合、ほぼ確実に前科がつくことになりますが、刑事事件のすべてが起訴されるかというと、そうではありません。起訴するだけの証拠がない場合や、証拠も十分だが、諸般の事情を考慮して起訴しないということも多々あります。特に、比較的軽微な事件において、罪を認め、被害者の方に謝罪と賠償をして、示談が成立しているというような場合、不起訴処分となる傾向にあります。示談をしていくには、弁護士の介入がほぼ必須といえます。

⑵ 否認をする場合も

 罪を犯していない場合、これを裁判で主張し、無罪の判決を得れば、当然前科はつきません。また、罪を犯していないことを、弁護士の適切な主張により、早期に明らかにしていくことで、そもそも起訴されないということもありえます。

⑶ 早めのご相談を

 否認をする場合も、罪を認めた上で不起訴処分を目指していく場合も、弁護士による早期の活動が、前科を避けるために必要です。刑事事件を起こしてしまい、前科がつくことに不安のある方は、オリオン法律事務所までご相談ください。


著作者:弁護士 枝窪 史郎

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